そして本題の『もはやない国のかつてない光 東ドイツの女性写真家たち』展。
キービジュアルとして据えられた、旧東ドイツの写真家ジビレ・ベルゲマンによる《アネッテとアンゲラ、ルストガルテン、ベルリン》について。
冒頭に挙げた「予感の存在」だけで出来ている、と言ってもいいくらいこの作品にはそれが満ちている。
旧東ドイツという当時の特殊な社会情勢を想像すれば、それはまず逃走劇のようなものを今の時代を生きる自分からは先回りしてつい予感してしまう。
一方で、手に手を取り合って走る姿からは、解放感に似た溢れ出る喜びと躍動感のような存在も、一歩遅れて感じられくる。
そして後ろ姿である事も手伝って、自分に出来ることは、ただそれを観て、追って、想像する事以外には、ない。
今起きている事と、これから起きる事への予感。
それが物語の余白として、受け手に大きく委ねられている。
実物を目の前にすると、想像よりはるかに小さなサイズの作品であることにも、まず驚く。
が、この小ささがむしろ自分のための小さな物語として、より作品と自分との距離を縮めてくれている事にも気づく。
「予感の存在」を感じさせる作品として、これから自分の筆頭に挙がるような出会いの記憶として。