また、実はもう一つ、この2点とは全く違う意味でKEIという場を通じて試してみたいことがあります。
私は、今ちょうど50歳です。
38歳からデザインを学びはじめ、40歳から恐る恐るデザイナーという肩書を付け、職能ごと転向し、ちょうど10年経ったところです。
つくることがより厳しくなるばかりの制作現場の現状、しかも50にして起業。果たして正気なんだろうか?
これは普通に自分でも思いますし、不安に駆られることも多くあります。
でも、一方でこうも思います。
私自身の(ほんの少しですが)関わった方々でいいますと、例えば昨年ご一緒に登壇させていただいた葛西薫さんは、現在77歳でいらっしゃいます。
お話が、ご自身で手掛けられたロゴデザインのディテールとなった途端、目をキラキラとされながら語られていく姿は、少年のそれのようでもあり、あまりにも素敵な、自分にとって忘れられない記憶となりました。
また、ちょうど今関わりのある建築家の竹原義二さんも、現在77歳です。
新たに設計されたとある建築について、つくる事そのものへの喜びに触れるかのような、込められた意図や意味へ語ってくださったときのお話やいきいきとしたご表情の豊かさ。これも自分にとって大切となるエピソードでした。
つまり、グラフィックデザインや建築の世界においては、既に多くの先人がこれまでも、現在も、これからも、当たり前にいらっしゃるわけです。
では、デジタルデザインの領域は?
そんな背景によって「じゃあ、自分がその一部を担ってみたらいいのでは?」と自然に思うようになりました。
だって先程のお二人からすれば、自分なんてひよっこもひよっこ、かわいいものです。
な〜んだ、ですよね。
例えば、先月まで所属しておりましたShhhというデザイン会社でデザインした「SOIL」というプロジェクトがあります。こちらはデジタルデザインのアワードサイト「Awwwards」にて「Sites Of The Day」を頂いたのですが、恐らく自分はAwwwardsにおける最年長者なのではとも想像しています。
また、同じく例えば昨年手掛けた「心拍(Shinpaku)」のサイトも、日本タイポグラフィ年鑑2026のオンスクリーン部門でベストワークを頂きましたが、こちらも恐らく同部門では歴代最年長のデザイナーでないかとも思っています。
話として分かりやすい為、まずは賞を例に挙げてみましたが、それに限らず毎年きちんと現役のデザイナーとして何かしらの更新をし、少しでもより良い仕事を通じて示していける事ができたら、そう思っています。
そういった先行の事例が、事実としてひとつある。
それだけで「じゃあ、いけるかも」と楽観できる人が増えたらいいと思いますし、続く別の方によりさらに更新されていく事が起きたらいいとも思っています。